こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日のテーマは、従業員に海外出張をさせようと考えている企業が労務管理を円滑に行う上で必要なプロセスの第六段階目である、「⑥海外営業部署内での出張知識に関する情報共有」に関して重要な事をお話したいと思います。
海外事業を会社で行っていく際には、前回までのおさらいとなりますが、①子会社を海外拠点に設立し、駐在員を配置し海外営業を行っていくパターンと、②子会社は設立していないが販売代理店と連携して海外顧客の契約を取っていく、という大きく2つパターンがあります。
➀の子会社が設置されていて駐在員が現地で常駐している場合に関しては、顧客まで訪問する際の安全な出張ルートや現地での営業活動の稼働時間に関しては、海外営業部員の労働時間管理の面でも、現地駐在員に厳格に守らせるように本社から指導する必要があります。
また駐在員の労働時間管理を適正に守らせるために、本社から出張に来た海外営業社員に対して現地駐在員の労働時間管理を適正に行うために、直接聞き取り・ヒアリングする事が重要です。例として以下の事項をヒアリングする事が挙げられます。
・現地駐在員の1日の基本的なスケジュール
・駐在員の業務内訳と現地社員の業務内訳の詳細
・現在課題となっている業務内容、負担となっている業務内容のヒアリング
・本社や海外営業部署への要望
本社から子会社が管轄している地域の海外出張を行う際には、駐在員と本社からの海外営業部員、両者とも安全に働く事が出来るようなコミュニケーションや管理体制を徹底する事が非常に重要です。
②の販売代理店が管轄している海外の国・地域に対して営業を行っていく際には、現地の経済や顧客動向、治安に精通している駐在員が配置されていない面で、海外出張に行く海外営業部員自身が安全に業務できるように、社内で事前に必要な段取りをしていく必要があります。
具体的に何をすれば良いかというと、「担当地域別の海外出張時マニュアル」を作成する事が重要です。
これは、担当地域ごと(東アジア担当、東南アジア担当、欧州担当、北米担当等)に海外出張に行った際に注意すべき点や行っておいた方が良い点に関して出張日ごとにメモ書きしていき、次回同じ地域に出張に行く社員が必ず業務マニュアルの内容を確認し、情報共有しておくべきことをチェックする体制を作るという意味で重要です。
例えば販売代理店に関して申し上げると、
・自社の製品を扱う担当が退職して新任になっており、社員の製品知識がなく売上が上がっていない
・販売代理店の事業方針として注力すべき顧客の業界が変わったことにより、積極的に自社の製品を販売できていない
・代理店の社員と販売に同行したりする等、代理店の社員別の営業方法やモチベーション、性格を知り、顧客との商談当日や商談前に海外営業社員がやっておくべきこと・注意点
等をメモ書きし、共有しておくことが非常に重要です。日本の中小企業が海外営業をする上で抱える従業員のマネジメントの問題点としてよく言われるのが「個人商店化」です。
言い換えると「業務の抱え込み」で、その国や地域担当の社員しか海外代理店の営業情報や注意点を共有しておらず、その社員が退職したり休職したりすると、大きな問題が発覚したり、突発的な依頼に対しても対応出来なかったりという問題が起こります。
これは海外営業社員が自身の心理的身体的なストレスを軽減し、安全に出張を行うためにも重要であるので、是非とも業務マニュアルを社内で作りましょう。
以上で「海外営業部署内での出張知識に関する情報共有」において重要な事をお伝えしました。次回は海外出張ルート、タイムスケジュールの部署内共有を行う際の重要な事をお話します。
執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。
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