こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『外国人社員が産休・育休を取得する際に企業が意識すべきこと~⑧』についてお話していきたいと思います。
前回までで【外国人社員が産休・育休を取得する際の会社が取り組むべき事項】として、
① 育児介護休業法や産休・育休取得制度の紹介を定期的に行う
② 産休・育休取得に関する意向や休業・復帰イメージを面談する
③ 業務の引継ぎや休業中・復帰後の業務開始イメージを共有しておく
④ 育児介護休業法上、就業規則上対応すべき人事労務管理手続きを行う
があるというお話をしました。今回も④の【育児休業中の人事労務手続き】の続きからお話していきたいと思います。
【育児休業中の人事労務手続き】
➃育児休業等終了時報酬月額変更届の提出
育児休業期間が終了した後、休業前の労働時間に職場復帰する方もいれば、1日6時間以上の短時間勤務で復帰する方もいらっしゃいます。その場合、休業前にもらっていた給与に比べて金額が少なくなります。
また、職場復帰後の社会保険料は通常、休業前の社会保険料を基に算出されるので、職場復帰後の手取り額が一時的に少なくなり、今後の生活に支障を与える可能性が出てきます。
そういったリスクを払拭する上で、育児休業等終了時報酬月額変更届を管轄の年金事務所に提出する事が出来ます。これは、育児休業から職場復帰した後3か月間の給与額を基に新しい社会保険料を計算しなおす手続きとなります。
通常の社会保険上の月額変更は、従前の標準報酬月額と2等級以上の差があった場合に対象となりますが、こちらの育児休業等終了時報酬月額変更届は1等級以上の差で申請する事が出来ます。
また、職場復帰後最低でも17日以上の出勤が1か月以上ある事が必要となります。職場復帰した後、子供の急な看病や保育園の送迎等で休業する必要が発生した場合でも、3か月の間に原則17日以上の出勤が1か月以上ある事が必要となります。
職場復帰して最初の3か月間は休業前の社会保険料で控除される為、一時的に手取り額が少なくなりますが、4か月目以降比較的手取り額の減少を抑えることが出来る制度となります。
⑤厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書の提出
➃の手続きと関連がありますが、職場復帰後に短時間勤務となり、月額変更届を提出する事で社会保険料の額が下がったものの、当該減額により年金の積立額が下がる事もデメリットとなります。そうなった場合、短時間勤務で就業する事のモチベーションが下がり、その後退職の可能性に繋がるかもしれません。
そのようなデメリットを払拭する為にあるのが、こちらの養育期間標準報酬月額特例申出書の提出という手続きとなります。提出する上では戸籍謄本や住民票の写し等、子を養育している事の証明書類が必要となります。
まず、➃で説明した月額変更届の提出の必要があるかを人事担当者は確認していただき、短時間勤務等で一時的に社会保険料が従前より下がる場合は、本特例申請書を提出する事を対象従業員に案内する事が重要です。
以上が、産前産後休業中・育児休業中の人事労務手続きとなりますが、その他にも住民税を給与から天引きしていた(特別徴収)会社は、休業期間中に従業員自身で支払うよう切り替える(普通徴収)手続きを行う必要があったり、その他にも産休・育休中の労務管理には細かいルールが沢山あります。
人事労務の手続きを社内で行う上で不明点がある場合は、お近くのハローワークや年金事務所、もしくは社会保険労務士事務所にお問合せ頂くと良いかと思います。
本日は『外国人社員が産休・育休を取得する際に企業が意識すべきこと~⑧』についてお話させて頂きました。今回までのニュースで外国人社員の産休・育休を取得する上で会社が対応すべき事の概要についてお話させて頂きました。
この育児と仕事の両立にかかわる分野は近年法改正が激しく、会社で取り組むべき事項が頻繁に変わりやすい分野でもある為、情報のキャッチアップや最新情報のアップデートがとても大変な分野でもあります。
ましてや、これらの情報を自社の外国人社員に事前に伝えて労使関係良好に産休・育児休業を取得してもらう事は、外国語でのコミュニケーションの問題等、非常に難しい課題でもあります。
弊社では、円滑な産休・育児休業取得等の仕事と生活の両立支援等、外国人社員の労務管理に特に力を入れています。その他にも労務管理のご相談等、労務顧問のご依頼等いつでもご相談お請けしておりますので、お問合せフォームからご連絡をお待ちしております。
執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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