こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『労務管理Q&A~日本にワーキングホリデーに来た人を雇用する際の注意点~③』についてお話していきたいと思います。
前回までで、ワーキングホリデーで来日される方を雇用する際の簡単な概要や、ワーキングホリデーの方を雇用する際の企業が対応すべきフローチャートについてお話させていただきました。
今回からはまとめとして、ワーキングホリデーで来日される方を採用する際に企業がどのような点に注意すれば良いか等、雇用する際のチェックポイント等についてお話していきたいと思います。
ワーキングホリデーの方を雇用する際に企業が特に意識すべき事項としては私個人的に以下4点が挙げられます。
➀在留期間までの勤務を前提に雇用の計画を立てる事
②他の社員やアルバイトの方の待遇や働きやすさにも常に配慮する事
③ワーキングホリデー終了後の離職してからのフォローアップをしっかりと行う事
④他の社員とワーキングホリデーの方の親交を深める事を手助けする事
この4点が非常に重要だと思います。
まず①としては、前回までのニュースでお話しています通り、ワーキングホリデーで来日される方のビザは原則1年間の在留期間となり、滞在期間の延長に関しては原則不可とされております。
その為、会社は雇用を行う際に在留期間終了までに雇用できる業務は何かの洗い出しや、自社で勤務してもらう上で本当に無理なく雇用を維持できるか等を考えた上で、事前に雇用の計画を綿密に立てる事が非常に重要です。
よくある会社からの相談として、ワーキングホリデーの方から雇用予定の会社宛てに「私は長期的に働く意欲がありますし、ワーキングホリデー終了後も在留期間延長の申請が可能らしいので、ぜひ雇用してほしい。」と面接で伝えてくる時にどう対応したらよいかというご相談です。
前述のとおり、在留期間の延長に関しては原則難しいですし、在留期間の延長というのはすなわちワーキングホリデーから他への「在留資格の変更」を意味します。在留資格ごとに求められる労働者の条件や雇用主の要件も変わってくる事から、「在留資格の変更」はとても安易に企業に対応できる事柄ではありません。
易々とワーキングホリデーで来日される方の話を鵜吞みにして雇用してしまい、後々在留資格の変更の申請が通らず、雇用計画が台無しになったり、ワーキングホリデーの方とトラブルになったりする可能性も十分にあります。
その為、雇用の際にも事前にワーキングホリデーの方に「現在所持している在留期間までの雇用となる」事をしっかりと説明し、その期間での雇用計画を事前に綿密に立てておく事が非常に重要です。
②ですが、ワーキングホリデーの方に勤務してもらう上での働きやすさを追求するあまり、ワーキングホリデーの方へのサポートが手厚くなりすぎてしまい、既存で働く従業員の就労に関する不満が高まる事で、組織の風土や良好だった人間関係を乱してしまうのを防ぐ事を意識しなければなりません。
ワーキングホリデーで来日される方は、多くの場合以下に関してサポートが必要となる傾向が高いです。
・日本文化の理解等の文化的サポート
・日本語習得や英語でのコミュニケーション等の言語サポート
・住居探しや生活支援等の生活サポート
例えば上記が挙げられます。これらのサポートはワーキングホリデーの方が自社で働いてもらう上では当然ながら必要となる事から、絶対的に相当な時間をかけて会社はサポートを行おうとします。
既存で働く他の従業員もワーキングホリデーの方が上記のようなサポートを必要とされる対象であると頭ではわかっていても、「自分の働きぶりや頑張りも会社はしっかり見てほしい」と考える事も当然ながらあります。
その為、会社はワーキングホリデーの方への支援につきっきりになるのではなく、定期的に既存で働く従業員の頑張りもチェックする事が重要です。企業の対応策の具体例として、既存の従業員にワーキングホリデーの方への上記サポートの担当を任せ、その働きぶりに応じて昇給や賞与等の評価に繋げるしくみを作る事も非常に重要です。
本日は『労務管理Q&A~日本にワーキングホリデーに来た人を雇用する際の注意点~③』についてお話させて頂きました。次回も続編をお話させて頂きます。
執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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