こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『労務管理Q&A~特定技能の外国人社員を雇用する際に注意すべき事とは?~➀』についてお話していきたいと思います。
弊所へのお問合せとして、「外国人雇用関係で最近よく巷で聞く、特定技能という在留資格で外国人社員を雇いたいのですが。」というご相談が増えております。比較的最近創設された在留資格であるからこそ、まずどのようなステップで進めていけば良いか分からないという企業様も多く聞きます。
本日からはそのような「特定技能」の在留資格で外国人社員を自社で採用する際に企業がどのような点に注意すれば良いか、そして雇用する際のチェックポイント等についてお話しできれば幸いです。
【特定技能とは何か?(概論編)】
まずそもそもですが、特定技能という在留資格は、日本の労働力不足を補うために、一定の専門知識や技術を持つ外国人が特定の産業分野で働くことを目的としている在留資格の事を言います。
特定技能にも「1号」と「2号」があり、
「1号」
在留期間: 最長で5年(1回の在留期間は1年または6ヶ月ごとの更新)
転職: 同じ業種内での転職は可能
家族の帯同:認められていない
必要な試験: 各業種ごとの技能試験と日本語能力試験(N4レベル以上)
「2号」
対象業種: 2023年現在、11業種
在留期間: 無期限(更新は必要)
転職: 同じ業種内での転職は可能。
家族の帯同: 配偶者や子供の帯同が認められている
必要な試験: 各分野独自に定められた高度な技能試験に合格する必要がある
と簡単にまとめると上記のようになっております。
特定技能2号は、特定技能1号という在留資格をかつて所持したことが無くても取得する事は出来ますが、各分野で定める技能試験に合格する必要があります。各企業でOJTを経験しながら自身の技能を習熟させていくプロセスを特定技能1号で経験できるのに対し、直接特定技能2号の技能試験に合格する事は非常にハードルが高い事項だと個人的には思います。
その為、ほとんどは特定技能1号の在留資格の外国人社員を雇用するパターンの企業が大多数かと思います。また、特定技能1号から企業が外国人社員を雇用する理由はもう一つあります。
特定技能の在留資格を持つ外国人社員との接点を持つ為には、企業と求職者は面接等直接コンタクトを取る事が必要になります。特定技能と一緒に参考に出される、「技能実習」の場合は監理団体や現地の送り出し機関が協力して、受け入れ先となる企業へ対象の技能実習生の雇用をあっせんしてくれますが、特定技能の場合、企業が直接外国人社員を見つけて面接し、雇用契約を締結しなければなりません。
その為、人材紹介会社を経由して特定技能の在留資格で外国人社員を雇用する形式をとる企業も多いですが、特定技能の在留資格で日本企業で働く外国人社員は、その他在留資格である「技術・人文・国際業務」で来日する外国人社員と比較して、日本に関する知識やその他ビジネス経験に劣る方が多く、企業側が採用を決定する際になかなか決まらないというお悩みを聞きます。
その為、日本の企業側としても自社で長期間勤務できるかが不透明な中、特定技能2号の在留資格で雇用するよりも、契約期間を都度更新する特定技能1号で雇用するパターンが多いと個人的には思います。
また一方で、技能実習で来日した外国人社員を特定技能の在留資格に切り替えて雇用する企業も中にはいらっしゃいます。その場合は、対象の外国人社員が技能実習2号を修了している事を事前に再度しっかり確認する事と、特定技能の在留資格での雇用契約を再度しっかりと締結する事が必要です。
なぜならば「技能実習」の雇用と「特定技能」での雇用は全く別々の目的での雇用期間だからです。企業側としては、賃金や待遇等変わらないので、技能実習期間中に取り交わしした雇用契約のまま特に再度締結をしないという企業も中にはいらっしゃいます。
しかし、最新に締結した雇用契約書は入管庁への在留資格変更申請に必要ですし、外国人社員に対して在留資格が変更される事で、今までと心機一転しっかり働いてもらえるよう意識してもらう為に、雇用契約書の取り交わしは再度しっかりと行う事は重要だと思います。
本日は『労務管理Q&A~特定技能の外国人社員を雇用する際に注意すべき事とは?~➀』についてお話させて頂きました。次回も続編をお話させて頂きます。
執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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