
こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『2025年労働法関連法改正と企業の労務管理で対応すべき事⑦』についてお話していきたいと思います。
前回までは【②雇用保険法の改正】についてお話させて頂きました。今回からは【③障害者雇用促進法の改正】と【➃高年齢者雇用安定法の改正】についてお話させて頂きます。
まず【③障害者雇用促進法の改正】ですが、除外率の引き下げが行われます。除外率とは、障害者雇用促進法に基づき特定の業種において、法定雇用率の適用を一部緩和する制度のことを言います。
例えば、建設業では除外率10%、幼稚園等の保育業では50%と決まっております。この度の法改正では、その各除外率が設定業種ごとにそれぞれ10ポイント引き下げられるという事です。つまり、各会社で障害をお持ちの従業員を雇用しなければならない人数が増える事を意味します。
現在常用労働者数が40人以上の会社に関しては、全従業員の2.5%以上の障害者を雇用する必要があります。この常用労働者数40人を満たしているかを確認するには、週の労働時間数が何時間であるかを各従業員分計算する必要があります。例えばですが、
週30時間以上の従業員→1人としてカウント
週20時間以上週30時間未満の従業員→0.5人としてカウント
週20時間未満の従業員→カウントしない
のルールで計算していき、それらの合計が40人を超えている会社は法定雇用率2.5%以上障害者の従業員を雇用しなければならないというルールとなります。
例えば、
週30時間以上の従業員→20人
週20時間以上週30時間未満の従業員→10人
週20時間未満の従業員→10人
の会社だとすれば、20×1+10×0.5+10×0=25人 常用労働者数は25人となるため、この会社は現時点では法的に障害者を雇用する必要は無いという事になります。
(ただし、週10時間以上20時間未満で働く重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者については、1人につき0.5人として計算する事も2024年4月からの雇用の計算から適用されております。)
話は戻りまして、例えばフルタイム従業員100人の会社で除外率10%の建設業でシミュレーションしますと、
(100人-100人×10%) × 2.5%=2人(小数点以下切り捨て)
障害者の従業員を2人雇用しなければならなくなったという事です。今まで除外率が適用されている会社につきましては、一度自社の従業員構成と従業員数を基に、自社が障害者の従業員を何人雇用しなければならないかどうかを再度チェックしていただくことが重要です。
また本障害者雇用に関する参考のお話ですが、障碍者の法定雇用率を達成しなければならない会社で一定の基準の会社については、納付金の徴収や、報奨金・調整金の支給があります。
例えば常用労働者数が100人超の会社については、不足1人あたり月額50,000円の障害者雇用納付金を納付する必要があります。一方で、法定雇用率の基準を満たしていて、その基準を超過して雇用している会社であれば、1人あたり月額29,000円の障害者雇用調整金が支給されます。
また、常用労働者数が100人以下で、法定雇用率の基準を満たしていて、その基準を超過して雇用している会社であれば、1人あたり月額21,000円の障害者雇用報奨金が支給されます。
ただ、この障害者雇用調整金と障害者雇用報奨金については、2025年度以降については年間の支給対象人数が一定の基準を超えた場合は、調整金と報奨金が減額されておりますので、留意が必要となります。
本日は『2025年労働法関連法改正と企業の労務管理で対応すべき事⑦』についてお話させて頂きました。次回も続編をお話ししていきたいと思います。

執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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