
こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は『労務管理Q&A~社内でリモートワークを定着させるには何が必要か?①~』についてお話していきたいと思います。
最近は会社に出社しなくても、従業員が日頃住んでいる自宅や、会社で契約しているサテライトオフィスやコワーキングスペース、あるいはカフェ等で仕事を行うリモートワークの働き方が増えてきました。
このリモートワークという働き方は、就業規則等の会社の規則として整備されていたり、インターネット環境やウイルス保護等の情報漏洩防止の環境が整っていたり等、会社で対応すべき事項が完了していれば、簡単にリモートワークを社内で定着させる事ができると考えている経営者や人事担当者の方が多いかもしれません。
しかしリモートワークを社内で定着させる上で一番必要なのは、『従業員がリモートワークで働く為の土台となる能力』を事前に、かつ完璧に身につけさせる事だと私個人的には思います。
なぜならば、リモートワークの働き方は限りなく『雇用』よりも『自営』的な働き方であるからです。タスク管理や上司等への進捗連絡等、従業員自身で働き方を管理するという能力は、どんな従業員のでもあらかじめ備わっているわけではありません。いわば簡単なようで極めて難易度が高い能力だと思います。
今回からは、社内でリモートワークを定着させるために必要な、『従業員がリモートワークで働く為の土台となる能力』は何かを中心にお話していきたいと思います。
私個人的には主に3つと考えております。
① 指定された時間内にタスクを完了できる能力
② チャットやメール等文書で分かりやすく他者に説明する能力
③ 社内の『報連相』を過不足なく行う事が出来る能力
だと考えております。まず①ですが、従業員が社内で対応を求められた業務を、あらかじめ指定された時間内に対応できる能力が備わっているかを会社でチェックする事が重要です。
日頃行っている業務が何であるかを、各従業員自身に洗い出してもらい、会社の経営上、部署の運営上、重要な業務順にランク付けし、重要度が高いタスクから順に各業務にかかる時間を捻出し、その時間内でもってタスクを完了できるかどうかをチェックする事が重要です。
当該従業員に業務命令を行っている上司が管理しているタスクであれば、比較的どれくらいの時間が必要か予測・管理がしやすいです。
ただ、同部署の他同僚から指示された業務や、他部署から依頼された業務等、直属の上司があまり管理しにくい業務については、タスクに発生する時間がどれくらいかを予測・管理する事がしにくいです。
その為、私個人的に推奨する実務対応は、週に1回10分程で構わないので、従業員と直属の上司が面談し、現在行っているタスクの洗い出しとそのタスクにかけている時間はどれくらいかを情報共有する時間を作る事です。
その際に、従業員が現在行っているタスクで本来対応する必要が無いものについては、従業員自身のタスクから削除し、行う優先度が高いタスク順に従業員が着実に業務を行っているか、そして各タスクにかかる時間が本当に妥当なのかをチェックする事が重要です。
『こんな面談は本業と関係ないし、やるのは時間の無駄じゃない?』と考える従業員や上司がいるかもしれませんが、それは違います。なんなら一番重要な業務と言っても過言ではないと私個人的には思います。
雇用で働く従業員は『会社の指揮命令に基づいて働くこと』を雇用契約で達成しなければならない義務があります。その為、上司が会社の経営上、部署の組織運営上必要だと思う業務を決め、その指揮命令に基づいて働くのは従業員の雇用契約上の義務なのです。
一方で、その雇用契約を遂行する為に、経営層や部署のトップ、管理職は、何のタスクが会社運営上必要なのかを常に見極め、各従業員に指揮命令を常に出し続け、その指揮命令関係が円滑に遵守されているかをチェックし続ける事を行う事が、義務なのです。
あらかじめ従業員と上司で面談時に合意した時間内で、普段のオフィス勤務の状態でタスクを完了できなければ、リモートワークという上司が各従業員の働きぶりを常にチェックできない状態での働き方は、導入が難しいと私個人的には思います。
本日は『労務管理Q&A~社内でリモートワークを定着させるには何が必要か?①~』についてお話させて頂きました。次回も続編をお話ししていきたいと思います。

執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、海外駐在員や外国人社員等のグローバルに働く社員が輝ける職場づくりを人事面からサポートしたいという想いで、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。番組プロデュース、ポッドキャストデザイン等のPRブランディング事業も手掛ける。株式会社サンキャリア代表。
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