こんにちは。サンキャリア代表の田村です。
本日は【海外駐在員を派遣するまでの人事部がすべきステップ】の第二段階目、➁海外駐在員勤務時の給与待遇・福利厚生・職務内容・人事制度等の社内設計を行う上で重要な事(後編)をお話致します。
今回は海外駐在時の職務内容と海外駐在中の人事評価や駐在経験後のキャリアマップや配属の決め方に関してお話をしていきたいと思います。
海外駐在中の職務内容に関しては、日本本社の所属が継続している場合に関しては、本社の経営の延長線上に関する業務を担う事が多く、広報・宣伝・営業活動・情報収集、現地工場のオペレーション管理や現地営業事務所の従業員のマネジメント等が一例です。
海外駐在前の日本本社での業務は、比較的上長の指示を仰いで行っていましたが、駐在員となると現地社員を部下として率いて業務に関わる等いわば管理職のような業務や、契約締結、現地社員の採用・現地法人での設備投資等の資金決済等、責任の重い業務を請け負う傾向にあります。
よって、海外赴任前には日本において、人事労務管理の知識習得や管理職研修、海外の法律に関する知識習得、納期管理や購買・調達管理、簿記等に関する知識も海外赴任の対象従業員にしっかりと習得させておくことが大事です。
海外駐在で起こるトラブルの多くは日本本社で対応出来るものです。用意周到に事前の海外赴任時のシミュレーションやトラブルシューティングに関する知識を習得するように企業として対応するようにしましょう。
ご参考までに、以前配信したポッドキャストで、日本で事前に対応すべき海外赴任時のシミュレーションやトラブルシューティングの重要性に関してお話しておりますので、是非とも聞いてみてください。
第166回 【対談】海外駐在員の人事労務管理の重要性について語る(前編)
第167回 【対談】海外ビジネスを成功させるために人事部はどうあるべきか(後編)
上記が海外現地での業務となりますが、海外駐在員は本社の所属の一員となって業務を行っている場合に、もう一つ重要な業務として、日本本社への業務進捗連絡や売上の到達状況の報告、日本本社からの海外出張アテンド等、「日本本社」との連携業務があります。
「日本企業の海外の顔」としての業務だけではなく、「企業の海外支店所属の従業員」としての業務という、海外駐在前から継続して対応している日本本社の一員としての業務も合わせて対応しなければなりません。
海外の商習慣や現地でのマネジメント等の業務過多の影響により、日本本社と連携する業務が上手くいかず、それを原因として海外駐在員にとって大きなストレスとなる事がよくあります。
日本本社の人事部や海外事業部の社員は、現地の海外駐在員は目に見えない多くの業務を抱えている可能性があると理解し、常に温かい目で見守ってあげる事がとても重要です。
また海外駐在中の綿密な人事制度設計に関しても、とても重要です。多くの海外駐在員が赴任中・赴任後に抱えるジレンマの一つとして、赴任中の経験や実績が、駐在員が考えている程本社での評価や配属に良い影響をもたらしていない事です。
その理由として、日本本社での部署のポストが不足している事や、本社内の業務割当の見直し不足、赴任中の適正な評価制度が無い事、赴任中の定期的な評価チェックがおろそかである等、企業によって千差万別の理由があります。
海外駐在から帰国して一回りも二回りも大きな経験をし、自信がついた社員に対してチャレンジングな業務やポストを与えない事は、社員のモチベーションの低下や、海外駐在候補や駐在予定者等の海外赴任に対する意欲低下や組織の離職率の上昇にも繋がる可能性があるので、企業の人事部は評価制度や人事労務管理に関して、より注力する事が重要です。
場合によっては海外赴任後に社員と綿密な面談を行い、現地駐在での経験を踏まえたニーズや課題解決に対応させる為の新しい部署の創設も視野に入れて、人事部は人事制度の設計に対応する事が非常に重要です。
以上で、海外駐在員勤務時の給与待遇・福利厚生・職務内容・人事制度等の社内設計を行う上で重要な事をお話しました。次回は海外派遣させる対象従業員を選定する上で重要な事について詳しくお話していきたいと思います。
執筆者:田村陽太(社会保険労務士)
産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。
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