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執筆者の写真田村陽太

【第70回】海外現地法人設立の進め方(③現地サプライヤー調査発掘編その3)


こんにちは。サンキャリア代表の田村です。



本日は「海外現地法人設立の進め方(③現地サプライヤー調査発掘編その3)」についてお話していきたいと思います。



前回のニュースでは、現地ローカル企業の発掘方法とその企業の見極めポイントをお話しました。今回はローカル企業を無事に選定し、部品や資材の発注をし始めた後、製品の品質を日本のサプライヤーと同等の技術水準にしていく為に重要な事や注意点に関してお話していきたいと思います。



それでは前回からの引き続きで、どのように進めていけば良いかのポイントをお伝えします。



⑤まずは現地ローカル企業の仕事の進め方を様子見る事



現地ローカル企業からの部品や資材の供給をまずは小ロットで始めてみて、現地ローカル企業が業務を無事に遂行できるように納期に比較的余裕を持たせ、ローカル企業が通常通りに仕事を回せるようにする事が非常に重要です。



その前提として、海外企業の業務の仕方で日本と一番異なる事は、「伝えた業務内容はするが、言われていない業務はしない。」という事です。



日本の企業でも同等かと思いますが、新規受注した当初は顧客の頑張りに応えようと必死に業務を遂行しようとします。指示された業務内容や発注内容に関しては確実に遂行しようとするので、「納期も守って欲しい」「返品率を〇〇%以下にしてほしい」とあれもこれも要求すると、結果的にどれも中途半端なクオリティとなってしまいます。



まずは比較的厳しくない条件で発注する事で、ローカル企業の業務の仕方や製品の質を理解し、次の指導に繋げる事が出来る為非常に重要です。



⑥ローカル企業の考え方を尊重し、決して相手の面子をつぶさない事



製品の品質を日本のサプライヤーと同等の技術や水準にしていく為に、「ローカル企業にバンバン教え込まなければならないんだ。」と、ローカルのやり方を否定し、日本企業のやり方を押し付けて指導してしまう日本企業も多いです。



例えば中国や東南アジア等のアジア諸国であれば、人前で注意されたり、怒られたりする事を「面子が潰された」として嫌がったり煙たがったりするローカル企業も多いです。



たとえ自社のやり方の方が、業務効率が良いと思ったとしても、各業務手順におけるそのアクションの根拠は何であるのか、必ずローカル企業に常に聞きまわる事、問い続ける事が大事です。



ローカル企業の社員に問い続ける事で、一見自社とローカル企業のやり方が異なっているように見えても、考え方や認識が共通の部分があり、「それではローカル企業のやり方のままで進めてみよう。」とか「日本企業のやり方で進めてみよう。」等ローカル企業と発注者が折り合える部分が出てきます。



サプライヤーだから下の立場ではなく、発注者受注者それぞれ対等である事を心に秘め、応対する事がサプライヤーの指導の上で非常に重要です。



⑦技術指導は長期的な目線で実施するものであると企業が理解する事



上述した通り、ローカル企業の価値観や考え方、今までの商習慣が絡んで来る為、技術指導した結果がすぐに実を結ぶわけではない事は認識しておくべきです。



ローカル企業が業務を怠けたり、納期を遵守しなかったり等もあるかと思いますが、これは日本企業からの現地ローカル企業への日頃の意識づけ、習慣づけが最も大事です。




事あるごとにローカル企業に訪問し、製品の出来栄えや前回との比較での改善点、今回の助言や注意の趣旨や目的等をしっかりと話し、ローカル企業自身が自主的に事業活動を行う事ができ、かつ、事業の方向がぶれないように日頃からローカル企業とコミュニケーションを取る事が重要です。




今回は海外現地法人設立の進め方(③現地サプライヤー調査発掘編その3)についてお話しました。次回は海外現地法人設立の進め方(④海外売上のシミュレーション方法)       についてお話させて頂きます。




執筆者:田村陽太(社会保険労務士)



産業機械メーカーの海外営業、社労士法人での勤務経験後、社労士事務所を開業。海外駐在員や外国人社員の労務管理、外国人留学生・技能実習生の就労支援等、企業の国際労務・海外進出対応に強い。ラジオDJ、ナレーター、インタビュアー、番組MC・ナビゲーター等、音声メディアや放送業界でも活動。また、番組プロデューサー、ポッドキャストデザイナーとしてPRブランディング事業も手掛ける。



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